点検作業の大幅な効率化と事故を予防するIoTの仕組みを、ロボセンサー技研株式会社、株式会社toor、サイバネットシステム株式会社の3社共同で検証
ロボセンサー技研株式会社(本社:静岡県、代表取締役:大村昌良、以下「ロボセンサー技研」)は、サイバネットシステム株式会社(本社:東京都、代表取締役 社長執行役員:安江令子、以下「サイバネット」)、株式会社t o o r (本社:福島県、代表取締役:高枝佳男、以下「t o o r 」)と共同で、今まで捉える事が難しかったベルトコンベアのローラー部の異常をIoTによりいち早く捉え、監視システムや担当者の携帯端末に通知する異常検知システムの実証実験を2 0 1 9年1 0月より1 2月まで実施することをお知らせいたします。
◆ ベルトコンベアの異常検知における課題
大規模なプラントでは、原料や燃料などの搬送にベルトコンベアが広く利用されています。しかし構造が複雑なため、ベルトを送るローラー部に搬送物の粉などが付着し抵抗が増すだけでも故障し、輸送/生産ラインが停止したり、発熱による発火を招いて重篤な事故につながる可能性があります。一方、ローラー部は、地上数十メートルの高所に設置されていたり、規模によっては数百メートルの長さに数百個以上が使われていたり、カバーに覆われ直接目視できないなどの理由で設備の状態を常時監視することが難しく、効率的な異常検知の仕組みが長年求められていました。
◆ PoCの概要
異常検知システム「RTScope」:データ分析の知識を持たない現場担当者でも異常監視が可能に
今回PoCを行う異常検知システム「RTScope(アールティースコープ) 」では、センシング部(センサーとIoTデバイスより構成)および診断システム部(クラウド上の診断エンジンとクライアント端末)により構成されています。センシング部には、直径0.5mmと極細で、周囲の雑音に影響されることなく狙いの箇所の振動音(異常振動)を計測することができるピエゾ方式※2のワイヤーセンサー「ロボワイヤー」を利用します。対象となるローラー部に設置し振動を計測すると同時に、センサー信号は通信機能をもったIoTデバイス※3にて一次データ処理されクラウドに送信されます。クラウド側で受信されたセンサーデータは、教師データ※4 を必要としないクラスタ解析エンジン※5「toorPIA( トピア)」によって同定・保持されている通常状態の正常クラスタと比較されます。「リスク」と「原因因子」がリアルタイムで評価され、監視システムや保守担当者の携帯端末などにアラートとして通知されます。センサーデータはIoTデバイスで直接クラウドに送られるため、配線設備や専用サーバ機器などは不要です。稼働中のベルトコンベアを止めることなく連続的に計測が可能で、データ分析の知識をもたない現場の担当者がタブレット端末などで簡単に操作を行うことができるため、点検作業の大幅な効率化と事故の予防が期待されます。
◆ 「ロボワイヤー」とは
直径が約0.5mmと極細・極軽量・柔軟なワイヤー状センサーです。広帯域で高ダイナミックレンジ、電源が不要というピエゾ素子の特長に加え、外乱ノイズに強く水や油汚れにも強いためどこにでも設置できます。産業機械やインフラ設備の計測用途のみならず、人の脈拍や呼吸、音声までもセンシングが可能です。
◆ 「toorPIA」とは
センサーデータを含む様々な高次元ビッグデータを、あるがままのデータ構造でシームレスに可視化することにより、バイアスフリーな0次データ仕分け※6 ( クラスタリング、スクリーニング) と特徴属性群抽出※7 を実現するクラスタ解析エンジンです。
◆ 各社の役割
ロボセンサー技研・・・ロボワイヤーの開発、提供、センサー適用コンサルティング
toor・・・・・・・RTScopeの開発、提供センサーデータ分析コンサルティング
サイバネット・・・・・本PoCの企画立案、プロジェクトマネージメント
◆ 協力いただいたお客様の声(株式会社トクヤマ 設備管理グループ 動力担当)
当社プラントのベルトコンベアは、原燃料等を搬送するために欠かせない設備です。しかし大規模プラントのベルトコンベアにはベルトを支えるため多数のローラーが設置されており、ローラーの軸受け部の異常兆候を運転員の現場パトロールだけで検知するには十分な経験が必要になります。さらに、点検作業は運転員の負担も伴います。RT ScopeのようなIoTシステムにより、運転員や現場の保守担当者が効率的に軸受けの異常や異常の兆候が検知できれば、想定外のシステム停止や機器の重大な損傷を防ぐことができ、稼働率向上や設備寿命の延長、部品交換時期の最適化など、大きなメリットが得られます。本PoCの結果に大いに期待しています。
◆ 注釈
※1: PoC(Proof of Concept):「概念実証」新たな概念やアイデアが実現可能か、効果や技術的な観点から検証する行程。
※2:ピエゾ方式:圧電体に加えられた力を電圧に変換、または電圧を力に変換するピエゾ効果を利用する方式。このピエゾ効果はアクチュエータやセンサーなどの電子素子に広く利用されており、スマートホンの中の各種電子素子でも活用されている。
※3: IoTデバイス:モノとインターネットをつなぐ通信機能をもったゲートウェイなどの機器。
※4:教師データ:機械学習において判断、最適化を行うために予め用意された正解データ。今回のPoCでは、正常、NGの予めの学習なく異常を判断する。
※5: クラスタ解析エンジン:多変量で大量のデータを自動的に分類する機能を提供するソフトウェア。
※6: 0次データ仕分け:通常の分析に供する前の原データを、データの類似性により分類したり、有用なデータと不要なデータ( ノイズ)を区別し、ターゲットとなるデータ集団の発見や分析シナリオ設定のための気づきを得るためのデータ仕分け手法。分析フェーズを1次分析とし、その前段階の処理を0次とした作業フェーズの呼称。
※7:特徴属性群抽出:多変量(属性)のデータから類似性を見つけ出すため、類似集団に共通する特徴的な属性を抽出するデータ処理手法。
◆ ロボセンサー技研について
ロボセンサー技研株式会社は、2016年創業しロボワイヤーの開発をスタート。「Innovate for Sensor Solutions」を標榜、あらゆる振動をノイズレスで測定し、in situデータ解析が実現可能なセンシング技術開発を行っています。また、産業機器およびインフラ設備用途、ロボット用途、人体センシング用途など様々なセンサー応用製品も開発してきました。InnovationLeaders Summit2019にて、TOP20ベンチャーに選ばれています。 ロボセンサー技研株式会社に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
●https://www.robosensor.co.jp/fab/
◆ toorについて
株式会社toor は、toorPIAとそのIoT 対応版である「リアルタイムエッジコンピューティングエンジンtoorPIA Edge」のライセンス提供販売を行っており、パートナー企業各社と共にビッグデータ解析サービスをはじめ、製造プロセスにおける機器予兆保全や品質異常検知、道路等のインフラ劣化予防など、幅広い分野の課題解決にむけて取り組んでいます。 toorに関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
●https://www.toor.jpn.com/
◆ サイバネットについて
サイバネットシステム株式会社は、科学技術計算分野、特にCAE(※)関連の多岐にわたる先端的なソフトウェアソリューションサービスを展開しており、電気機器、輸送用機器、機械、精密機器、医療、教育・研究機関など様々な業種および適用分野におけるソフトウェア、教育サービス、技術サポート、コンサルティング等を提供しております。また、企業が所有するPC/スマートデバイス管理の効率化を実現するIT資産管理ツールをはじめ、個人情報や機密情報などの漏洩・不正アクセスを防止し、企業のセキュリティレベルを向上させるITソリューションをパッケージやサイバネットクラウドで提供しております。サイバネットシステム株式会社に関する詳しい情報については、下記Webサイトをご覧ください。
●https://www.cybernet.co.jp/
※CAE(Computer Aided Engineering)とは、「ものづくり」における研究・開発時に、従来行われていた試作品によるテストや実験をコンピュータ上の試作品でシミュレーションし分析する技術です。試作や実験の回数を劇的に減らすと共に、様々な問題をもれなく多方面に亘って予想・解決し、試作実験による廃材を激減させる環境に配慮した「ものづくり」の実現に貢献しております。
※記載されている会社名および製品名は、各社の商標および登録商標です。
※2019/10/30 プレスリリース
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